【本の要約・気づき】黒い皮膚・白い仮面 フランツ・ファノン著 ―― 考え続けることの重要性と、すぐに結論づけることの危険性

読書感想

人種差別で分断された社会で進むべき道

人種差別問題で苦悩するファノンは

一つの結論にたどり着きます。

人間とは一つのウイである。

※ ウイ=フランス語でイエス



生きること、愛すること、高邁な精神を持つこと

※ 高邁(こうまい)=気高くあること



人間とは、ただ生きている、それだけで

肯定されるべき存在だとし、

そして、

人間が搾取されているときはノンを突きつけることができる。

と、言います。



ファノンは黒人差別、

黒人奴隷を目の当たりにして

生きてきました。



そんなファノンが辿り着いた結論とは、

そもそも人間とは、皮膚の色にとらわれず、

個々と向き合い、認め合うことが大切である。

ということです。



これは理想論ではありますが、

実際にどうすべきかは非常に難しいことです。

ファノンの真意、本書を読む意義は

どこにあるというのでしょうか。

日常で目の当たりにする差別

視界に入っても、真剣には考えない。

日常でもたくさん差別はあります。

たとえば、ホームレス、外国人技能実習生、

性別不一致、家庭、職場、学校でしいたげられている人たち――



ちらっと視界にはうつるものの、

真剣に考えたりはしません。



ファノンは一つの理念、理想に向かって

考える続けることの重要性

本書で訴えています。



考えることをやめる → あきらめること

考えることをやめることは、あきらめるということです。

もしくは、問題解決の答えた出た、ということになります。



しかし、かんたんにあきらめてしまっては、問題は解決しません。

差別や不平等は放置されたままです。



また、安易に「この問題の答えは出た!」と結論づけると、

そこで思考はストップしていまいます。



たとえば、性別不一致の人に対して、

どういう言葉をかけると傷つくのか

どういう風に接するのがいいのか、

かんたんに結論が出る問題ではありません。



繰り返しになりますが、

考え続けることこそが重要なのです。



人種差別の問題に、答えは出てきません。

だからこそ、ずっと考えなくちゃいけない

そういう気づきを得たことと、



人種差別問題に対して繊細になれたことが

本書を読む意義だと思いました。

最後に、ファノンの言葉で締めくくりたいと思います。



「私の最後の祈り、おお、私の身体よ、

いつまでも私を、問い続ける人間たらしめよ!」

黒い皮膚・白い仮面 【新装版】
************************************************************ 「黒人の不幸は奴隷化されたということである。白人の不幸と非人間性はどこかで人間を殺してしまったということである。…黒人であるこの私の欲することはただひとつ。道具に人間を支配させてはならぬこと。人間に...

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