【本の要約・気づき】黒い皮膚・白い仮面 フランツ・ファノン著 ―― 「日本語がお上手ですね」は差別発言。

読書感想

今回は、精神分析医であるファノンから見た

黒人の内面についてみていきたいと思います。



黒人の内面には、自身の黒い皮膚を否定し、

白人と同化したいという気持ちがありました。



なぜ、「白人同化」したいのか、

どのように「白人同化」するのか

その深層心理についてまとめていきたいと思います。




乳白化

黒人が、白人のように白くなりたいという

願望を「乳白化」といいます。

どのようにして、「乳白化」するのでしょうか。




白人との結婚願望

生まれたときから

母国がフランス領であった

アフリカの大陸に住む人たちには

あたかも白人が「善」で、

黒人が「悪」かのような

社会の常識、価値観が無意識のうちに

刷り込まれています。



それにより、黒人であることに

劣等コンプレックスを

抱くようになります。



そして、少しでも白くなろうと

白人と結婚しようとするのです。



これは根深い問題があります。

生涯のパートナーを選ぶとき、

人柄や、性格などではなく

無意識のうちに

「肌の色は白いか、黒いか」を

基準に選んでいることになります。



社会構造が白が善、黒が悪という

二項対立の世界なのです。




言語

言語とは、1つの文化を引き受けるものです。



フランス植民地下では、

フランス語をマスターすることが

絶対でした。



社会的に成功するにはフランス語をマスターしなければならない。

フランス語をマスターすれば、本国フランスに留学でき、

母国に戻れば厚遇されるのです。



つまり、フランス語を学ぶことは

白人文化の担い手になれるということなのです。




言語が世界を切り分ける

「外国人なのに、日本語がお上手ですね」

私は日本で住んでいるので、

当然のように日本語を話します。



テレビや、インターネットで

流ちょうに日本語を話す外国人を見ると

「外国人なのに、日本語が上手いなぁ」

と思うことがあります。



これは、

自分が話す言葉と、見ている世界が

スタンダード(世界標準)である、

という思い込みの裏返しです。



人が、

ものをみること、話すことは

差別に加担したり、差別を助長したり、

肯定することに陥りかねないのです。



それほど母語を話すということは、重いのです。



このことは、

日本で最初の哲学書といわれる

西田幾多郎著『善の研究』にもありました。



私たちが目の当たりにすること、

それを解釈し、

母国語で話すということは、

その時点ですでに世界を切り分けているのです。



自分が解釈すること、話すことで、

無意識のうちに差別に加担しているかもしれない、

自分がみえている世界が標準ではない、

ということは心に留めて、自己点検しなければいけませんね。



(次回に続く)

黒い皮膚・白い仮面 【新装版】
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