【本の要約・気づき】『存在と時間』ハイデガー著――自分らしく生きるという命題に答えるオススメ本

読書感想

前回までは、

私たちはどうしようもなく

他人に合わせて生きている。



他人に合わせて生きることで

自ら責任を負わなくてすむから、

安心感を得られるから、である。



という内容でした。



今回は、

では、

周囲に同調せずに、

自分らしく生きるには

どうすればよいのか

という内容です。




他人に同調せず、自分らしく生きるには

キーワード ① 自分の死と向き合う

ハイデガー曰く、

「死」こそ、

他人が引き受けられない

自分固有のものである。



人は、

「死」と向き合うことで、

唯一無二の存在となる。



といいます。



例えば、

過労で倒れ、

医者に余命を宣告された人は

その後の生き方が変わります。



骨身惜しまず

働くことはやめ、

人生を謳歌しようとするでしょう。



「明日、事故に遭って

死ぬかもしれない。」

そういう風に

自分の人生を捉えれば、

周囲と同調して生きる生き方をやめ

自分オリジナルの人生を

描けますね。



しかし、「死」と向き合い

他人との同調から抜け出せ

というのは不安や恐怖が伴う

極端な思考といえます。



この考え方には

次のキーワードが

補助をしてくれます。




キーワード ② 心の呼び声を聞く

キーワードは ② は

「心の呼び声を聞く」

です。



これは、小さな例えになりますが、

私のエピソードをお話します。



私の母は60過ぎで、

毎朝、家族のために

家事をこなしてから、

働きに出ます。



ある冬のこと、

私は、母が

寒さにこごえながら

冷たくなった洗濯物を

干している姿を見て、

「これを見て見ぬふりはできない

手伝わなくてはいけない!」

という気になりました。



それからは、

私が早起きして

洗濯物を洗濯機にかけ、

洗濯物を干したり、

家族の朝食を用意するように

なりました。



寒さにこごえている

母の姿を見て

無視をすることが

出来なかったのです。



心の呼び声とは


「このままでいいのか?」

「見て見ぬふりをするのか?」


といった、ただの問いかけです。



正解を教えてくれるわけではありません。

ただ、眠っている人を起こすように

呼びかけるだけのものです。



私たちは毎日その声を聞いているはずです。

心の声を聞くか、聞かないかは、

自分で選択しているのです。




まとめ 先駆的決意性

ハイデガーは、


「死」と向き合い

自分の人生を生きることを

「先駆」


「心の呼び声」を聞いて

行動を起こすことを

「決意性」とし、


この2つを合わせた

「先駆的決意性」が

自分らしい生き方を探るヒントになる

と説きました。



しばしば自己啓発書に

「明日死んでも後悔なく、考えて行動せよ」

と、極端なことが書かれています。



しかし、自分の人生を生きることは

自分で自分の責任を負うということ。

不安でしかたがないことです。



でも、ときどき

「心の呼び声」が聞こえて

くることがあります。


「このままでいいのか?」

「見て見ぬふりをするのか?」



この声を無視し続けると

いつか、本当に聞こえなくなると

思います。



今、心の声がしなかったか!?

と、見逃さないようにすることが

他者との同調から抜け出し

自分らしい生き方をする

ヒントになることは

忘れてはいけませんね。


(次回に続きます。)




存在と時間〈上〉 (ちくま学芸文庫)
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