中野信子著『悪の脳科学』
藤子不二雄A先生原作、『 笑ゥせぇるすまん 』の主人公「喪黒福造」の
ターゲットの心のスキマにスルッと忍び込む心理テクニックや、
「喪黒福造」 のターゲットはどんな時に、
どのようにしてダマされてしまうのかを
脳科学的にひもといていく内容です。
『笑ゥせぇるすまん』 のテンプレストーリー
「喪黒福造」 のお決まりのパターンは
まず、悩みを抱えたターゲットに歩み寄る。
次に、悩みを解決する商品を無償で贈る。
ただし、扱う際は「これだけは守ってください」というルールを課します。
ターゲットは戸惑いつつも、商品を受け取り、便益を享受する。
「喪黒福造」 の課すルールとは、とても簡単なルールなのですが
ターゲットは調子に乗ってルールを破ってしまい、
最後は破滅するというものです。
(例えば、ターゲットにマンションの一室を贈るという話があります、
この時、 「喪黒福造」 の課したルールは「利用していいのは平日だけです」
といったものです。)
どうして人は簡単なルールを守ることが出来ないのでしょうか?
理屈・理性<情動 人はルールを守れない
たとえば10cm幅の白線の上を歩いてください、と言われれば
ほとんどの人が難なく歩く事が出来ます。
しかし、
これが5mの高さの平均台の上になるとどうでしょうか?
幅は同じ10cmです。
理屈・理性で言うと、同じ幅10cmですから難なく歩けるはずです。
しかし、高さ5mとなると足を踏み外せば打撲を負ったり、
打ち所が悪ければ捻挫や骨折の可能性だってあります。
これが「理屈・理性<情動」の理屈です。
どんなに簡単なルールだったとしても、
「情動」を抑えるなど不可能なのです。
そう思うと、法律や宗教の戒律などは
人間の本能を制限するようなものばかりですよね。
「浮気をしてはいけない」とか、
「人を殺してはいけない」とか。
ルールを課せなければ本能のままに動いてしまうのが人間です。
それを破ってしまうのもまた人の性なのですね。
本書の最後には
人がいかにしてダマされるのか脳科学的に知ることができたり、
中野信子先生と藤子不二雄A先生との対談もあったりしてとっても面白かったです!
今後、ミステリ小説や、映画を観るときは本書で学んだ内容が活きて
奥深く楽しめるようになる気がします!
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