【本の要約・気づき】『ペスト』カミュ著――神を否定する者と神を信じる者

読書感想

神を信じない者と、神を信じる者

少年オトンの死

作中、少年オトンがペストにかかり

治療もむなしく、苦しみながら

死んでしまいます。



なぜ、罪もない少年が

若くして命を落とさなければ

いけないのか。



この不条理に頭を抱える者が

2人いました。



医師のリウーと、神父のパヌルーです。



医師のリウーは現実問題として

事態を直視し、抗い続けます。



一方のパヌルー神父は

神に仕える者として、

揺らいでいました。

パヌルー神父について

保険隊に参加し、献身的になる

神父のパヌルーは少年オトンの死をきっかけに

ペスト患者を調査、介護補助をする

保険隊に加入し、献身します。




パヌルー神父が治療拒否を宣言した理由

一方で、

教会の説教では、

信者の前で

「自分がペストになったら、

それを神の意思と受け取り、

治療を受けることはしない」

と宣言します。



パヌルー神父は

神を絶対の存在として

信じています。



しかし、なぜ、

神は、無垢な少年に死をもたらしたのか。

パヌルー神父の信心が揺らいでいました。



罪のない少年に死をもたらす神を肯定するには、

神を信じきり、たとえ自分の身に何があったとしても

全てを受け入れるほかなかったのです。




パヌルー神父の最期

その後、パヌルー神父は、体調を崩し、

倒れてしまいます。



パヌルー神父は宣言通り、治療を拒みました。

そしてそのまま息を引き取るのです。



神父が亡くなったのは

ペストのせいなのか

そうではないのか、

作中で分からないようになっています。



著者 カミュは、

パヌルー神父が

絶対的である神を

最後まで肯定する、

という姿を描ききりました。



一方で、

「人間の死は、神によって

意味を与えられるものではない」

というメッセージも

読者に与えている気がします。



この辺りを、

神を完全否定しないように

絶妙に描ききったところが

カミュの創造性の凄さだと感じ

感動いたしました。




(次回に続きます。)

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