これから前後編に分けて、
『竜とそばかすの姫』について
徹底考察します!
今回のテーマは、
「なぜ、鈴はSNS依存症にならなかったのか」
です。
<参考文献>
ストーリー
内向的な女子高生鈴は
友人の勧めでスマホアプリ<U>に登録する。
<U>は登録者数50億人を超える巨大SNS、
会員たちはバーチャル空間で
アバター(仮の姿)で交流を楽しんでいます。
<U> 内での鈴は、
歌姫ベルとなり、一躍人気者となります。
バーチャル空間での初ライブ中に
突如、竜と言う名の獣人が乱入してきます。
彼は<U>内で
暴力行為を振るい、
暴れまわっています。
なぜかベル(鈴)は、
そんな竜を放っておけず
そのあとを追っていきます・・・。
鈴の両親について
鈴の母
鈴には母親がいません。
幼い頃に川の事故で亡くなりました。
鈴の母は鈴を置いて見知らぬ子供を救助しようと
氾濫する川に飛び込みそのまま亡くなったのです。
鈴は、幼少より、母親からの愛情、承認が
不足していたといえます。
鈴の父
鈴の父親は物語中、
父親らしいところがありません。
影が薄く、出てきても同じセリフしか言いません。
父親らしさとは、父性です。
家族をまとめ、規律規範を示し、
子にとって初めての基準としての役割を持ちます。
鈴の父は、父親らしいところがなく、
父性が欠如していたといえます。
子どもは父性と母性の影響を受ける
「どうしてお母さんは私を置いて、
見知らぬ子を助けに行ったんだろう。
私のことはどうでもよかったんだろうか。」
と、過去を引きずり、塞ぎ込みます。
内向的な性格に育ったり、
過去を引きずるのは、
両親の影響があったからといえます。
※
もう一つ父性・母性の影響の例を挙げると、
エヴァンゲリオンのシンジ君。
彼も母親を早くに亡くしていますし、父親も厳格過ぎます。
その影響を受けて彼も内向的な性格に育ちました。)
鈴は自己肯定感が低い
両親の影響に加えて
<U> 登録初日にベル(鈴)の歌がバズり、
フォロワー数が爆増します。
鈴は「たくさんの人が自分を批判している!」と
批判コメントの方に面食らい、大慌てします。
大きな成功体験よりも、
ネガティブな出来事にフォーカスするのは
自己肯定感が低い証拠です。
自己肯定感が低いとSNS依存症になりやすい
自己肯定感が低いと、簡単に手に入る楽しみに依存する。
性格が内向的で塞ぎ込んでいると、
他者との関りを失い、
どんどん自己肯定感が低くなっていきます。
すると、自分の枠組みから
中々抜け出すことが出来なくなります。
自己肯定感が低いと
自己肯定感が低いと、
かんたんに手に入る楽しみに依存します。
お酒、ギャンブル、ゲーム、スマホなどは、
簡単に手に入る刺激や快楽です。
自己肯定感が高いと
自己肯定感が高いと、
少し高いハードルにチャレンジしようとします。
達成すれば、達成感と言う喜びが得られます。
また、達成出来なくても
チャレンジした!という経験値が
人を成長させ、次につながります。
チャレンジしなければ、
ずっと経験値ゼロのままです。
予想を裏切る物語の展開
映画の展開として、
鈴が人気の歌姫になることで、
人生で経験にないほどの
承認欲求に満たされ、
その中毒になり、<U>から抜け出せなくなる、
いわゆる、SNS依存症のようになると思っていました。
しかし、
実際の展開は大きく違いました。
鈴を支えるつながり・愛
鈴の周囲にはいつも人がいます。
親友であり、よき理解者のヒロちゃんや、
地域の歌唱サークルのマダム達、
そして何かと気にかけてくれる忍くん。
人間はリアルに人とつながっていると幸福を感じます。
鈴は、友情による結びつきや、
地域コミュニティに所属している帰属意識により
幸福感を感じていたはずです。
一時的で中毒的快感よりも、
人とのつながりで得られる
幸福感は永続します。
人とのリアルな繋がりによる幸福が、
鈴(ベル)をSNS依存症にさせず、
彼女の精神を健全に保っていたのです。
<参考文献>
「父性」と「母性」で物語を読み解く、教科書的な書籍です。
幸福には大きく、3つの脳内伝達物質が関わっています。
どんなときに分泌されるか、それはどのようにすれば
再現できるかなど、幸福論ではない、幸福の実践的書籍です。
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