『竜とそばかすの姫』賛否両論 徹底考察 後編 ――なぜ、鈴は赤の他人でしかない竜を救ったのか?

映画感想

ネット上の感想でも賛否が別れる

「なぜ、鈴は何の面識もない、

関係性も繋がりもなにも無い

赤の他人の竜を救ったのか」

という部分。

今回はここを徹底考察します。

『竜とそばかすの姫』のキーワードは「共感」

最近読んだ『脳からストレスを消す技術』に

こんなことが書かれていました。


慈悲という言葉は、本来のサンスクリット語では

「慈=友情」(平等に接する心)

「悲=人生の苦に対する呻き」

という意味になるそうです。


つまり、

 「自らの苦しみを知る時、他人の苦しみを知ることが出来る」

 「他人の苦しみを知ると、癒さずにはいられない働き」

という意味が込められています。


いわば、「共感」ですね。


「共感」は、本作品の

キーワードです。

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真の「共感」とはなにか

痛ましいニュースを見て心を痛めることができる人間

痛ましいニュースを見て

心を痛めることはありませんか?


罪のない子供の命が理不尽に奪われたり、

天災により家や故郷がなくなってしまったり、

そして、遺された家族が涙を流している。


そんなニュース映像を観て、

自分も悲しい気持ちになる、ということは、

誰しも一度はあると思います。

共感すると、自分と他人の境界がなくなる

人が真に「共感」するとき、

そこに自分も他人もありません。


「事実」と「同じような感情を共有した状態」のみがあります。


人間には、

川で子供がおぼれていたら、国籍がなんであろうと

立場がなんであろうと、関係性がなんであろうと

「助けなくちゃ!」という心の働きがあります。

鈴の心に沸き起こった「救いたい!」という気持ち

鈴の心に沸き起こった

「竜を救いたい!」は「共感」です。

そして、

鈴は、自分の心に沸き起こった感情を知る時、

見知らぬ子供を助けようとして亡くなった

母親の心を知るのです。

もし、鈴と竜が知り合いだったとしたら・・・

もし、鈴と竜がご近所さんだとか、

おさななじみの友人というような

関係性や繋がりがあるという設定であれば、

本作はものすごくチープな映画作品になっていたことでしょう。

まとめ 本作に深みを与える設定

大きな災害が起きたとき、

まったく赤の他人でも

「もし、被害にあったのが自分だったら」

という「共感」があるからこそ、

自然と、ボランティアや募金といった

活動に、人をはたらかせます。


それまで鈴と竜の間に

「関係性がなかった」という設定こそが

本作に深みを与えているのです。

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