マルクス『資本論』「なぜ過重労働、ブラック企業問題はなくならないのか」

読書感想

ます。

過重労働、ブラック企業問題は、資本主義に巻き込まれるが故に、なくならない。

マルクス曰く、

「資本」とは、価値増殖の運動である。

資本の一般定式: お金―商品―お金

元手となるお金で商品を作り、儲けたお金でさらに商品を作る。

これが、増殖の運動と表現した意味です。

このループはなくなりませんからね。

資本主義以前は、商品―お金―商品 

といった「価値が増えない」式になっていました。

職人が商品を売って、稼ぎを得て、生活費に充てることを表現しています。

われわれはこの価値増殖し続ける

「資本」という名の運動に巻き込まれています。

それゆえに、経営者側も無限に利益を求めるし、

労働者側も無限に働き続けることになるのです。

「賃労働の無限ループ」といえます。

自由によって縛られる労働者

現代の日本に奴隷はいません。現代の労働者には自由があります。

しかし、

かえって、この自由が労働者を苦しめます。

「自分で自由に選択した仕事」

「自分で選んだ責任感」

「自分で決めたという負い目」

「資本」の運動のうずの中にいる労働者は、

知らず知らずのうちに「賃労働」に縛られてしまっているのです。

労働者が自由を勝ち取るには、「労働時間の短縮」である。

番組内で、指南役の斎藤幸平先生は、

労働者が自由を勝ち取るには、「労働時間の短縮」である。

と結論づけます。

日本の労働組合は「賃上げ交渉」が主な活動というイメージですが、

それではまた、

労働者側は

「給料が上がった分、もっと会社に貢献しなきゃ!」

雇用側も

「給料を上げたんだからしっかり働いてもらわないと!」

といった、資本の運動に巻き込まれてしまいます。

「労働時間の短縮」であれば、余暇に家族と過ごしたり、

趣味に時間を充てられ、より文化的で本来の人間らしい営みができます。

「労働時間の短縮」実際の例

フィンランドでは、サンナ・マリン首相(現在36歳)が任期中に

「1日6時間勤務・週休3日制を目指す」と表明し、議論がなされています。

フィンランド首相、「1日6時間労働・週休3日制」目標掲げる。ネットでは「日本でも検討を」の声
「労働時間の短縮は、高い就業率や堅固な財政を実現するという私たちの目標と、矛盾するものではありません」

日本では、2019年夏に日本マイクロソフトが「週勤4日・週休3日」試験的に導入。

労働生産性がおよそ39.9%が向上。また、様々なコスト削減にもなりました。

マイクロソフトは世界に150ほどの拠点があります。

中でも日本マイクロソフトは労働時間が長いと

以前から本社に指摘されていた背景があったようです。

世界ワーストワン。日本マイクロソフトが週勤4日に挑戦した理由
働き方改革の影響で、長時間勤務を悪と見なす風潮が高まっている。いかに効率よく働くか。その流れで注目が集まっているのが週休3日制だ。2015年にファ...

過重労働により、自死に追い込まれる悼ましい事件が起き続けています。

メンタル疾患の申請件数は年々増加しています。

厚生労働省 <脳・心臓疾患と精神疾患の労災申請件数と認定件数> によれば、

精神疾患の申請件数は、1999年では155件ですが、2018年では1820件にもなっています。

あらためて自分自身が資本の運動、

「賃労働の無限ループ」の渦の中にいることに気づき、

一度立ち止まって、何が大切かということを考え直すときがきたように思います。

(次回に続く)

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次回

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