著者:諏訪哲史
愛知県名古屋市出身の51歳
作風や文体など、小説という形式に対して常に疑問を抱き、執念深く自問自答する姿勢から、「小説狂」・「文学的テロリスト」などと評されることもある。(Wikipediaより)
本書を読んで、その通りだと思いました。
文学の斬新な表現があります!
あらすじ
兄は大学生。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。病室で繰り広げられる二人の会話が中心の物語です。
おもしろかったポイント①
全てが「」の会話で物語が展開されます。
斬新過ぎて、文学にはこのような表現もあるのか!と驚きました。
会話のみなので、テンポよく読めるところもオススメポイントです!
おもしろかったポイント②
兄妹の会話のやりとりが尊くて、切ない。
妹には最後の方まで病名が明かされないのですが、
うすうす自分が何の病気かは気づいているようです。
不安を抱えながらも兄の前では明るくなります。
兄は妹を励まそうとして、いつも病室内でふざけあっています。
そんな2人のやりとりがせつないです。
わたしも妹がいるので自分がもし同じ立場だったらとおもうと
胸がキュッと締めつけられます。
おもしろかったポイント③
本書は270ページあります。全てが会話なのでサクサク読めます。
ポイント①で挙げた斬新さは、中盤にさしかかると新鮮味が落ちてきます。
目新しさを感じなくなるんですね。
わたしは、この作品のピークは全てが
会話で進行するところで、悪く言えば
一発アイデア勝負みたいな作品なのかなと思いました。
しかし、
中盤以降、驚きの連続です。
読書ブログとしては、なぜ驚いたのか、どう驚いたのかを
詳しく説明すべきですが、わたしはためらいがあります。
なぜなら、
詳しく説明すると、初めてこの作品を読む人が、
この読書体験を薄めるような気がするからです。
ネットを検索するともう少し先の展開まであらすじが書いてあったり
ネタバレしないまでにもう少し踏み込んで感想を書いている人は
たくさんいます。
私が気をつかいすぎているのかもしれません。
しかし、私はその部分を伝えたくありません。
是非、本書を手にとって読んで欲しいと思います。
あえて、
まわりくどく例えるなら、
本書は、ビックリ箱です。
箱を開けるとバネ仕掛けで人形が飛び出してくるような作品です。
私はビックリとこれはすごい!という感動体験を超えて
途中でホラー作品でもないのに怖くなって何度も本を閉じました。
読みやすい作品ですので、
読書の秋に諏訪哲史『りすん』はいかがでしょうか。
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