文章術を鍛えたくて、本書を手に取りました。
特に印象的だったのが「文章の品格」についてです。
感想と共にまとめました。
文章の品格ってなんだろう
著者の林望先生は、
「文章には品格がなくてはならない。」
「特にエッセイは、品格が勝負」、と言います。
では、「文章の品格」とはなんでしょうか。
林望先生は次のように述べています。
① 変にあくずれした文章
② 流行語・紋切り型の言い方
③ 自分だけが楽しい・内輪ノリのユーモア
① 変に悪ずれした文章
雑誌の文章などによくある表現だといいます。
具体例
- ~してみては?
- ~してみるのもいいかも?
- 週末に楽しめる趣味のよう。
これは中止法と言って、肝心の叙述部分がぶつ切りになっています。
「~してみては?」は、本来なら「~してみてはいかがでしょうか?」とするところです。
変に言葉をぶつ切りにすると、文章のうつくしさを欠く、ということですね。
② 流行語・紋切型の言い方
具体例
- ~にこだわる
- 終わってみれば~
- ~と思っている今日この頃です。
林先生は、
「いわゆる手垢のついた表現の、安易な使用」
これも品格を落とすといいます。
「なんとかして、独自の表現で描写したい、という志が、文章にうつくしさをもたらす。」
といいます。
③ 自分だけが楽しい・内輪ノリのユーモア
林先生いわく、
「ユーモアは「自分が」楽しんではいけない。」
「文章に求められるのは客観性であり、芸に徹すること。
内輪ノリ、仲間内で盛り上がるようなこと、
自分ばっかりが喜ぶことをそのまま書いても、読者は喜びません。」
このあたりを、
古典落語の噺家と、
若手漫才師のバラエティ番組のノリと比較して例えています。
芸に徹する噺家と、
仲間内でガチャガチャして楽しんでいる(つもりの)ノリは
「お客さんを楽しませるか」「自分(たち)だけが楽しむか」の違いがあります。
自分ばっかりが楽しいだけの文章は品がない。
いかに、読者を楽しませるか、考えを凝らした文章に
品がもたらされるんですね。
まとめ・感想
「文章の品格」、という抽象的な原理を理解するのに、とても役に立った本でした。
本書は、林先生が特に「エッセイを書く方向け」に開講された、
講義の内容を文字起こししたものです。
中盤からは具体的に生徒のエッセイを添削指導もされていますので、
エッセイを書きたい、文章を書きたい、という方にオススメしたい一冊です!
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