ル・ボン『群集心理』(SNS時代を生きるわたしたち)

読書感想

ル・ボンが考える「群衆」

人間の集団は、それを構成する各個人の性質とは

非常に異なる新たな性質をそなえる。

すなわち、意識的な個性が消えうせて

あらゆる個人の感情や観念が、

同一の方向に向けられるのである。

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この一文を読んだとき、中野信子著『ヒトはいじめをやめられない』

のことを思い出しました。

学級というのは、極めていじめが起こりやすい場所であり、

発見も通報も究明も難しい場所なのだそうです。

それは「赤信号みんなで渡れば怖くない」と言われるように、

集団でいることで、倫理観や道徳観が失われてしまうからだそうです。

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ル・ボンが考える~群衆の主な特徴~

① 衝動的で、動揺しやすく、昂奮しやすい

② 暗示を受けやすく、物事を軽々しく信ずる性質

③ 感情が誇張的で単純であること

④ 偏狭さと横暴さと保守的傾向

***

この4つの特徴からいろんなイメージが浮かんできます。

漫画でいうと、『デスノート』で、

ニアのビルに群衆が突っ込んでいくシーンですね。

仮名† デスノ 白々

このあと、ニアは空からお金をバラ撒きます。

すると、群衆は本来の目的を忘れ、お金を拾い集めるようになり、

その隙に乗じてニアはビルから脱出に成功します。

***

このように、

個人が群衆になると、

それまであった「個性」や「理性」を喪失させ、

「野蛮化」してしまうことを

ル・ボンは指摘しています。

***

芸能人がスキャンダルを起こしたり、不正を行ったりすると、

SNSでは、およそこの世の全ての暴言が、芸能人に対して、吐きかけられます。

やってる本人は、正義を執行しているつもりで、気持ちがいいですし、

いいねや、リツイートされると快感がともないます。

そして、俺も! わたしも! と、多くの人が暴言を吐きかけるようになります。

ここにも群集心理が働いているといえます。

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