【本の要約・気づき】『菜根譚』 洪自誠著 ――逆境の中での学び、気づき ――商売をうまくやるには。

読書感想

本書の概要

本書は、16~17世紀の明の時代末期、

政治は民のことをほったらかし、

みにくい権力争いに明け暮れている

頃に、洪自誠によって著されました。



初版から300年後、江戸後期に日本に渡り、

当時の儒学者たちに絶賛

以後、隠れた名著として、多くの日本人に

読み継がれてきました。



本書には、現代の私たちにも伝わる

人生訓が書かれています。



本書の特徴として、面白いのが、

「対句」になっているところです。

いくつかピックアップしてみます。

前集57項 失意は得意のなかに

あれこれ苦心している中に、心悦ばせる趣がある。

逆に、

うまくいっているときは、失意の悲しみが生じる。



私の経験だと、仕事をしているときに、つらい状況にあるのに

かえっていいアイデアがひらめくことがあります。



そして、一度、アイデアが浮かぶと、そこに次のアイデアが足され

どんどんクリエイティブになって、楽しくなることさえあります。



逆にうまくいっているときは、特に頭をつかうことがないので、

仕事に対して楽をしてしまいます。



「苦心しているとき」と「うまくいっているとき」が

対になっていますね!


前集77項 やる気があれば進歩もする

長く地上で力を蓄えた鳥は、その後大きく羽ばたくことができる。

周囲よりも先に咲いた花は、いちはやく枯れるであろう。

このことをしっていれば、つらいときものりこえられるであろう。



逆境のときは、力を蓄える時!

うまくいっている人をうらやむこともあるけれど、

もしかしたら、うまくいったその先はピークアウトかもしれない。

自分は今は力を蓄え、練るときだと分かれば

逆境を乗り越えられることができますね!




前集149項 人間の知恵

魚の網を張っていると、大きい鳥がかかることがある。

カマキリが獲物を狙っていると、後ろからスズメが狙っている。

仕掛けが仕掛けを呼び、思わぬ異変を呼ぶ。

こざかしい知恵など、役には立たない。



カマキリが獲物を狙っているとき、

カマキリは自分が獲物を狙っていることしか

考えていないので、

背後に自分を狙っているスズメに気づいていません。



自分が得をするようなことも、損をするようなことも、

動物たちのように生死に関わるようなことも

紙一重だということですね。

そこに、自分の目先や、利益しか考えていない

浅知恵は無用です!




後集28項 進歩処

一歩前進するときは、一歩退がることを思うこと。

そうすれば、羊が垣根に突っ込むような危険を

避けることができる。

何かに着手するときは、

そこから撤退するときのことも

同時に考えておけば、

トラの背に乗るような危険を回避することができる。



自分が順調なとき、次のステージへいこう!

さらに駆け上がろう!もっと行こう!

ガンガン行こう!と思っているときは、

やはり、前項のように

「自分のことしか考えていない状態」

になります。



慎重には慎重を重ね、

石橋だとしても叩いて渡らなければいけません。




前集117項 順調なときこそ

おとろえのきざしは、盛んで満ち満ちているときだ。

逆に、

芽生えのきざしは、落ちぶれてどん底にあるときだ。



人生のピークも、ドン底も、

過ぎてからしかよくわかりません。



何事もほどほどの状態がよい、

ということですね。

まとめ

本書でおもしろいところは、やはり「対句」になっているところです。

逆境のときは〇〇〇〇なときである。

順境なときは××××なときである。



どちらが心に響くかによって、

今の自分がどっちの状態にあるか、

リトマス試験紙になると思います。



このことは、前回の記事でまとめた

「読書は対話である」ということと

リンクしていますね。



(次回に続きます。)

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