最近読み返したところ、改めて良い作品だと思いました。オススメポイントを3つに絞って本書を紹介したいと思います!
著者紹介
著者の米澤穂信先生は『氷菓』で第5回角川学園小説大賞内で新設されたヤングミステリー&ホラー部門で奨励賞を受賞し、デビューしました。これがヒット作となり、日常に潜むミステリーを解く古典部シリーズとしてシリーズ化されました。また『氷菓』は京都アニメーションによりアニメ化もされています!
注意点
ジャンルとしてはイヤミスに入るので、苦手な方にはオススメ出来ません。私は得意なジャンルではないのですが、物語の魅力として受け取り、楽しむ事が出来ました!
オススメポイント① 短編集である。
本書は全329頁、5つの短編からなります。それぞれ話が独立していますので長編小説が苦手な方にもオススメ出来ます。
話が独立しているとはいってもどのお話にも「お嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」」が物語の背景に見えますのでうっすら世界が繋がっているということが分かります。
オススメポイント② ほのかな百合
私が一番好きな話は一番最初の『身内に不幸がありまして』
5歳まで孤児院で育った村里夕日が、大家、丹山家に拾われメイドとして働きます。丹山家には年の近いお嬢様の吹子がおり、直ぐに親密になります。
ある時吹子が夕日に秘密の本棚を作るように命じます。表の本棚には置けないいかがわしい本を隠す為の秘密の本棚です。
いかがわしい・・・と言っても並んでいる本は、谷崎潤一郎、志賀直哉、木々高太郎、小酒井不木、浜尾四郎、海野十三、夢野久作、江戸川乱歩など大家のお嬢様の趣味としては悪趣味と言える本です。
夕日はお嬢様の命ならばと秘密の本棚作りに取り掛かり完成させます。この頃夕日には吹子お嬢様に対して恋心のような憧れの心を頂いており、夜な夜なこっそり秘密の本棚に隠された本を盗み読むようになるのです。
そこから2人の秘め事の共有が始まります。
オススメポイント③ イヤミス
注意点でも書きましたが、イヤミスがとても効いています。『身内に不幸がありまして』で言うと、前半~中盤は夕日の独白形式で物語が綴られますが、最後の数ページになると語り手が変わります。
語り手が変わった一行目からえーっ! と叫びたくなるような書き出しになっていて、そのイヤさときたら私は作者と街で会ったら「なんてことしてくれたんだ!」と一言いってやりたくなるほどです笑
まとめ
米澤穂信先生の文章は次どうなるの?気になる!という気にさせられる巧みな文章です。
『身内に不幸がありまして』の書き出しはこうです。
「この手記は誰にも見られてはなりません。もし見られたら、わたしはとても生きてはいられないでしょう」
どうですか?続きが気になりませんか?気になった方は是非手に取ってみて下さい!
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