スタニスワフ・レム著『ソラリス』Part3 「エヴァ 綾波レイ(仮称)で描きたかったこととは。」

読書感想

宇宙人とのファーストコンタクティ
(未知なるものとの最初の接触)を描いたSF小説です。

以下、ネタバレ有りです。 (エヴァのネタバレも少し含みます。)

夢と希望とロマンを求めて、パイロットは宇宙に飛び立ちますが、

実際は、

自殺した恋人の実体が出現するなど、酷な現実を突きつけられます。

幽体「ハリー」の描かれ方が凄い!

惑星ソラリス探査用ステーションの乗組員たちは、
惑星ソラリスに、深層心理を読み取られ、
一番見たくない、封じ込めてきた記憶の幻影と対峙させられます。

この幻影(本書では、「お客さん」と表現)が、
「敵」として描かれてないところが凄い!

主人公クリスの前には、
過去、自分の言動により自殺に追いやってしまった
死んだ恋人ハリーが現れます。

この死んだはずの恋人ハリーは、
惑星ソラリスが生み出した幻影です。

普通なら(?)、クリスをそそのかしたり、
クリスを攻撃したりしてくるはずですが、
本書では、「敵」として描かれません。

幻影ハリーは、自分が幻影であることに気づき、
私は誰なのかを自問自答し始めたり、
1人の人間としてアイデンティティを持とうとするのです!

さらには、この幻影ハリーは・・・・
自分という存在がクリスを苦しめていることを知り
自ら命を絶とうとします!

凄い!

凄過ぎる!

ある種、コピー、クローンのような存在が、
「自己」とは何かを問い、
「自己」を持とうとする・・・

これって、

劇場版プリキュア5 『鏡の国のミラクル大冒険』の

プリキュア5のコピーたち、

もしくは、

新劇場版 エヴァンゲリオンの最終章に出てきた

綾波レイのクローン、綾波レイ(仮称)

綾波レイ(仮称)は、あかんぼうのように、

あれはなに、これはなに、と世界に興味を示し、

こんなとき綾波レイならどうするとアスカに問い、

アスカに「あんたはどうしたい!?」と問い返されます。

第三村での生活、人との交流、畑仕事・・・

シンジとの関り・・・

そして最後・・・

綾波レイ(仮称)は完璧なクローンに過ぎません。

しかし、最後のシーンをみたとき、

私は思わず「アッ!」と声を上げ、胸が痛みました。

その瞬間、私の認識は、綾波レイ(仮称)は

クローンやコピーではなく、

一人の人間として認識が変わっていたのです。

惑星ソラリスにおける幻影ハリーも同じ描かれ方をしています!

凄い!凄過ぎる!

凄過ぎて震えました!

(次回に続く)

Bitly
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スタニスワフ・レム『ソラリス』 2017年12月 (100分 de 名著)
スタニスワフ・レム『ソラリス』 2017年12月 (100分 de 名著)
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