ル・ボン『群集心理』( 「議論」とは「論破」する戦いではない。 )

読書感想

「断言」される快感

本書では、

群衆は「断言」に弱い、と指摘します。

(事実、真実であるかはおいといて)

これは私の推察ですが、

脳は酸素や栄養をものすごくつかう器官です。
よって、できるだけリソースを節約しようとしています。

つまり、脳はできるだけ
「考えないように」「記憶しないように」「判断しないように」しているのです。

「あの人が力強く断言しているのだから、正しいのだろう」

という思い込みは、このような脳の仕組みが関係しているのだと思います。

本来なら、

「思考する」「議論を交わす」「検証する」というステップを
スッ飛ばしているのに、群衆は「断言」されるとかんたんに染まってしまうのですね。

この「断言」は、テレビのテロップや、
広告などの紋切り型のキャッチコピー、
政治家のマニフェストによくみられます。

「断言」されない不快感

では、「断言」しないほうがいいのか・・・というと

わたしたちは「断言」してくれない政治家にやきもきしてしまいます。

商品の広告も、「場合によっては効果があります。」なんてふわっとした

言葉をつけられては誰も買いませんしね。

メディア、政治家が使う手口、「断言」「反復」「感染」

本書では、群衆は「断言」によわく、

さらに「反復」されると周囲に伝播し、

「感染」していく、といいます。


「感染」というと、SNSの「拡散」が真っ先に思い浮かびます。

私自身、web記事、新聞、テレビのキャッチーな文言に洗脳されることがあります。

加えて、 スマホが一度に表示できる文字数や、

Twitterの文字数制限という現代のフォーマットにより、

それらを日常的に使用する私も思考力をドンドン奪われる、

そんな構造になっている気がしますね。

「自分で思考する」ことを忘れてはいけないし、

いったん落ち着いて議論をすることが重要ですね。

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