筋肉少女帯 『君だけが憶えている映画』は名盤

雑記

「同質性の原理」

人は自分と同じ精神状態の音楽を好みます。

たとえば、失恋した人に陽気なラブソングは受けつけません。
悲しい時はやはりしんみりした失恋ソングがその人の心を癒します。

今作は、“今” “この時代” に、欲しい音、欲しい言葉、人の心の奥底にある、
自分でも気づていない心のスキマ」を埋めてくれます。

だから、とても癒されました。

筋肉少女帯のサウンド

爆音、何重にも重なりあう音、重厚な低音、突き抜ける高音・・・

それらが雑音ではなく、うつくしい調和として聴こえるのは

筋肉少女帯のサウンドが「空間を埋める数学的な」楽曲だからです。

緻密な計算のもと、絶妙なバランスで音と音を重ねてつくられている、

だからこそ美しく、そして癒されるのである。

それはなぜか、

緻密な計算で、空間を埋めていく、「数学的」な筋肉少女帯の楽曲

人は「皮膚感覚」でも音を聴いている

なぜなら人間は耳だけでなく、
皮膚感覚でも音を聴いていることが科学的に証明されているからだ。

可聴域の音は耳で音を聴いているが、高音にいたっては毛穴から
低音にいたっては振動覚で受け取っていることが分かっている。

つまり、人は「音」触覚でも感じ取っているのである。

この皮膚感覚で感じ取るサウンドは、

「一体感」や「愛されている」という愛情を感じるのに
一役買っている。

なぜなら人は肌を刺激されることで愛情ホルモンである

「オキシトシン」が分泌されるからだ。

音楽は非言語情報、メッセージを伝える為、複雑でなくてはならない

「今コロナ禍だよね」、「みんな大変だよね」、「だけども前向きに頑張っていこうよ」
というメッセージを伝えるのに、単純な一言ではその背景やニュアンス、グラデーション、
思いまでは伝わらない。

だからこそ「音楽」の力を借りるのである。
今作の筋肉少女帯の重厚感のあるサウンドに加え、変拍子、電子音などが
効果的に取り入れられている。

これを1つ1つほどいていくのも楽しみ方でもあるが、
曲から伝わってくるメッセージというのは
そういった作業を必要とせずダイレクトに伝わってくる。

筋肉少女帯という音楽のなせる業だと思う。

ボーカル大槻ケンヂ

サウンドだけではない、
ボーカル大槻ケンヂさんのザラつきのあるシャウトが、
リスナーの心の叫び、怒り、鬱憤、抑圧を解放してくれるかのようだ。

高音から低音まで本当に独特な歌声で
特に今作は低音の音の響き具合が
包み込むような暖かさを帯びている。

楽曲と歌詞の織り成す世界観、そしてボーカル大槻ケンヂの歌唱により、
心のスキマを埋め、傷を癒し、ストレスを発散することが出来る。
これにより、リスナーは母親に抱かれるかのような愛を感じるのである。

筋肉少女帯世界と現実世界が交差するのは偶然ではなく、必然

今作のアルバムを聴いていると、昨日、今日の
犯罪、事件を想起するような歌詞があります。

これは偶然ではなく、必然であると思います。

誰しもが欠落感を抱えて生きています。

アルバム自体が
社会のマイノリティに向けて欠落感を埋めてくれるかのような、
優しく癒してくれるかのようなつくりになっているからです。

ぷつっと理性が切れてしまって、自暴自棄になり犯罪に走る若者

教室の隅で本ばかり読む学生

職場でなじめない社会人

社会と折り合いがつかない人たち

そんな人たちを優しく包み、癒してくれます。

Bitly

筋肉少女帯が語る、自分たちが描いてきた世界になってしまった戸惑いと使命感 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
筋肉少女帯が、2021年11月3日(水・祝)に通算21枚目となるオリジナル・アルバム『君だけが憶えている映画』をリリースする。2019年の『LOVE』以来約2年ぶりとなるオリジナル・アルバムは、ポジティブなメッセージとツインギターに胸が熱く

参考文献

Amazon.co.jp: メタル脳 天才は残酷な音楽を好む : 中野 信子: 本
Amazon.co.jp: メタル脳 天才は残酷な音楽を好む : 中野 信子: 本

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