【本の要約・気づき】『存在と時間』ハイデガー著 ――反対意見を黙らせ、自分の意見を主張する方法は得策か。

読書感想

前回に引き続き、

22.04.25 NHK 100分de名著

放送分より、

ハイデガーの批判を

まとめていきます。




倫理学者 ハンス・ヨナスの批判

ハイデガーは、

自分の心の声に

耳を傾けて、

それに伴って

行動する、

「決意性」を持てば、

「周囲の空気(世人)に流されない

自分らしい生き方が出来る」

と、説きました。



しかし、

ハイデガーの弟子にあたる

倫理学者、ハンス・ヨナスは

次のように批判します。




倫理学者 ハンス・ヨナスの批判

自分の心の声に耳を傾け

決意し、行動したとき、

たとえ、その決意や行動が

世間の空気、同調圧力に

脱するようなものだったとしても、



誤った判断や、

行き過ぎた考え、

暴走した行動だった場合、

それを制御するものがありません。



ハイデガーの「決意性」が

認められるなら、



独裁者の決意性や、

それに基づく判断や行動も

擁護されることになります。




弟子たちから憎まれたハイデガー

ハイデガーの教え子には

前回取り上げた

偉大な政治思想家

ハンナ・アーレントや、

今回取り上げた

ハンス・ヨナスがいます。



弟子たちは、

師であるハイデガーを

批判しました。



これはすくなくとも、

教え子たちは

師匠に染まるわけでもなく、

師の思想に流されてもいない、

と、解釈できます。



これは、まさしく

ハイデガーの説く

世間の空気に流されない

生き方を体現しています。



それを弟子たちに

教育できた、

ともいえます。




師を批判する弟子たちから見えること

弟子たちは

独裁政権に加担した

ハイデガーを憎み

批判しました。



ハイデガーは憎まれながらも

弟子たちを奮い立たせる

力を持っていたといえます。



たとえ、間違った論からも

学ぶべきことがある。



以上のことから、

「どのように他者と関わっていくか」

現代人の課題といえるでしょう。




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ハイデガー『存在と時間』 2022年4月 (NHK100分de名著)
「存在」の問い自体を刷新した20世紀最大の哲学書。未来に残したその倫理的課題とは。 古代ギリシャ以来、哲学史上最も重要なテーマのひとつとされてきた「存在」。その問い方自体を刷新し、20世紀以降の哲学に決定的な影響を及ぼしたのが『存在と時間』である。 未完に終わったうえ難解なことでも有名なこの書を、専門用語は最小限に、人...

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