【本の要約・気づき】『戦争論』ロジェ・カイヨワ著――戦争の魅力に抗えない人間の本質 (ロシア、ウクライナ) Part3

読書感想

前回は、需要と供給の循環という

経済システムに、

戦争が組み込まれていく、

という内容でした。

今回は、「祭」と「戦争」の類似点と相違点について

述べていきます。

「祭」と「戦争」は似ている

経済システムとは、

需要と供給の循環です。

しかし、

供給が過多になると、

モノであふれかえります。


これがお店ですと、

在庫一掃の

バーゲンセールになります。


このような、

蓄積したものの発散といった要素が

「祭」や「戦争」にもあります。

「祭」と「戦争」の類似点

「祭」は、人々のタガを外させます。

一年の労をねぎらうかのように、

お酒を飲み、食べ、歌い、踊り、

騒ぎます。

いつもはおとなしい人も、このときばかりは

自分を解放することさえあります。

「祭」は人を日常の規律から解放させるのです。

「戦争」も同じです。

人を殺したり、街を破壊したりすること

人間の道徳、社会規範から大きく

逸脱しています。


自分も命を落とすという

恐怖が常につきまといますが、

それよりも、

破壊の歓びや、蹂躙する快感に

陶酔してしまうのです。

なぜ、兵士は戦場で命を懸けるのか

戦場では、兵士が弾丸のように

使い捨てられ、次々と肉片となります。


それでも、兵士たちは破壊と蹂躙を繰り返します。


それはなぜか、

兵士たちは、死を超えた高みに精神を置き、

そこに崇高さと、美しさを見出しているからなのです。


人間は生存目標なくして生きていけません。


戦争の陶酔感・・・

死の恐怖・・・

命を懸けることの意味・・・


兵士たちは理解することの

蟻地獄に飲まれてしまっているのです。

「祭」と「戦争」の相違点

「祭」は、1つのコミュニティが

一体感を目指します。


「戦争」は、打ち負かしたり、

服従させることを目指します。


1つのグループが

力を外のグループに向けるのが

戦争です。


つまり、

敵がいるか、いないかの違いがあります。

蓄積 → 発散 の回路にまきこまれないために

「戦争」も「祭」も

にぶった経済システムのように、

蓄積すると、発散へと向かいます。


この回路に巻き込まれないために、

著者のカイヨワは次のように提案します。

「社会全体が、消費の回路を持つ事が大切」


一人、一人、が自己点検しよう、

気をつけよう、という問題ではないのです。


社会全体が、ガス抜きのような機能を

持つ必要があるということです。


この話でいうと、

今の日本は、とても危険な状態ではないでしょうか。

コロナ禍による自粛生活で

人は締め付けられてきたからです。


締め付けを発散するかのように、

街中で起きる凶悪事件が物語っています。

(次回に続きます。)

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NHK 100分de名著で紹介された際の、番組テキストです。

【本の要約・気づき】『戦争論』ロジェ・カイヨワ著
――なぜ、人類は戦争をするのか(ロシア、ウクライナ)Part4

(次回リンク予定地)

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