100分de名著 ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』放送回をもとに
気づきを書き留めておきます。
ヴァーツラフ・ハヴェル が 示した「言葉」の力
ハヴェルは視覚詩を残しています。
視覚詩とは、言葉を絵の表に配置して表現する詩です。
「私」と「あなた」の間に「言葉」という壁が阻んでいる『障壁』
「平和」というスペルが一字、一字分解されて空爆のように見える『戦争』
※ 「 ハヴェル 視覚詩 」 で検索してみてください。
「言葉」が目的なって、心を通わせる意思疎通がうわすべりしていることって
ありませんか?
例えば、政治家がよく使うスローガン、企業が謝罪会見で使う「定型句」
「〇〇をぶっこわす!」
「再発防止に努めます」
「オリンピックで打ち勝った」
とわけ、政治においては聴き心地の良い
「ワンフレーズ・ポリティクス」が流行しています。
改めてみると、「コレの中身ってなんだっけ?」と言葉が空洞なことにきづきます。
使う言葉だけが大切で、何を言っているのはないがしろにされている状況ですね。
嘘をつかない大統領
ハヴェルは大統領として、批判もありましたが、
1本、筋を通す、これだけは守っていたようです。
一国の大統領が嘘をつかない、というのは非常に難しいことです。
就任はじめてのスピーチのしめくくりに、正直に、誠実に、
「わが国土は繁栄していません」としめくくりました。
戯曲家としてのハヴェルの芸術、文化の意義
戯曲家でもあるハヴェルは演劇と社会の関係として「3つの領域」を示しています。
① 演者と観客の間に実存的な絆を生む
② 劇場に通う事で自分とは違う生き方を意識するようになる
③ 社会の精神に介入すると、社会を変えることにつながる
演劇とは、フィクションの世界のできごとではなく、
実際に存在する絆を生み、観客に「違う生き方」を意識させ、
演劇から影響を受けたなら、社会にさせ影響を与えるといういみです。
日々の生活に追われていると、視野や、思考が、狭くなって、
八方ふさがりの、どん詰まりになることがあります。
そんなとき、物語作品に触れることで、
問題そのものは解決しないかもしれませんが、
「こんな生き方があったのか!」というヒントが見いだせるかもしれません。
劇場とは義務教育ではなく、
「自発的な場」であり、
「違う生を意識する場」
なのですね。
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